プラネタリウム


段ボールを使ったドームの作り方


 文化祭などでプラネタリウムの上映をする場合、プラネタリウム投影機だけでなく、投影するドームの作成が必要不可欠になります。

ここでは、私が大学1年生の時に考案した、段ボール式のドームの作成方法を紹介します。

はじめに … なぜ段ボールなのか
 ドームを作る際、材料として使えるものにはどんなものがあるでしょう?
  …布?
  …ビニール?
いくつかの選択肢がありましたが、私はここで「段ボール」を選びました。

 さて、なぜ段ボールなのでしょう?

 自作プラネタリウムの上映は、高校時代の文化祭でもやっていました。
そこで使っていたのは昔からある布製のエアドーム。つまりは空気でふくらませる布風船です。

 でも、これには内部の空気圧を一定に保つためのエアロックが付いていなかったため、お客様の出入りの際にはいちいち完全にしぼんでしまい、ふくらみ切るまでは上映が始められないという欠点が存在しました。

 また、布製のドームは遮光性に欠け、ドーム外部にわずかな光源があっただけでも投影の妨げとなったり、長期間の使用によって汚れてしまったり…と様々な問題点を抱えていたのです。

 もう1つの選択肢であったビニール製のドームも、エアドームであるためにきちんとしたエアロックをもうけないと、布製のドームと同様の問題点が生じてしまいます。


 では、エアロックをもうけることを考えてみましょう。サークルが文化祭の時に使用する教室は、ごく普通の授業で使う教室。

 そこに直径4mのドームを立てる場合ドーム自体の高さは2m、教室の天井までの高さを考えると残りは1mを切ってしまいます。

 そのサイズのエアロックを作った場合、出入りの際には窮屈な体勢を強いられることになり、足の不自由な方などは入場することすらままなりません。

 さて、それではどうすればエアロックのないドームを作れるのでしょう?

 早い話が、空気圧でふくらんでいるのではなく、自立した形のドームを作ればよいのです。

 そこで段ボールの登場になります。
段ボールは、スーパーや電器店に行けば簡単に手に入れることが出来ます。

 また、加工性に優れ、軽くて丈夫です。 高校時代の文化祭では、教室の遮光のために窓に段ボールを当てていて、なじみのある素材だったために、ドームの作成には段ボールを使用することにしました。

設計 … ドーム作りの考え方
 実際のドームの設計です。
ドームは半球状の形をしているわけですが、これをまず円周でいくつかに分割して、ミカンの皮のような形を考えます(下の図では24分割)。

それをさらに8個の台形と1個の三角形を組み合わせた形で近似します。


この台形部分のサイズは、以下のようにして求めます。

  h = 2・r・π / 36
  d0 = 2・r・π / n
  d1 = d0・cos10°、d2=d0・cos20°…

ここで、rはドーム半径、nはドーム円周の分割数、角度はドーム上の緯度になります。

例として、ドーム直径4m(半径2m)、円周24分割のドームでの計算結果を載せておきます。

h d0 d1 d2 d3 d4 d5 d6 d7 d8
349.0 523.6 515.6 492.0 453.4 401.1 336.6 261.8 179.1 90.9

※単位はすべてmm(ミリメートル)
材料集め … 選び方と集め方
 設計が出来たら次は材料となる段ボール集めです。

 段ボールは、スーパー・家電量販店・コンビニなどを回って分けてもらいましょう。こうすることによって、色々な種類の段ボールが無料で手に入ります。

 さて、段ボールを集めると言っても、闇雲に集めるわけにも行きません。ドームのそれぞれの部位毎に、最適な物を選んで集める必要があります。

 例えば、ドームの下の方のパーツに使う段ボールは、耐久性に優れた二重構造になっている物を、上の方のパーツに使う段ボールは軽量である必要性を考え、出来るだけ薄い物を…と言ったように、主に段ボールの厚みを重視して選んでいきます。

 また、1つのパーツの中に段ボールの折り目が入らないように、切り出すパーツの大きさを考慮する必要もあります。

 実際にどこで、どんな段ボールを集めているかというと…
  • 下部パーツ用:家電量販店でテレビ・冷蔵庫・洗濯機などの段ボール。厚みがあって盤面が大きい。二重の物なら最高。
  • 中部パーツ用:スーパーでお菓子や野菜の入っている段ボールでやや薄めの物。一重の段ボール。
  • 下部パーツ用:スーパー・コンビニでペットボトルや缶飲料の段ボール。とにかく薄くて軽量。ただし、段ボールの"目"に注意
と、こんな感じで選んでいます。

 ここで注意すべきなのが、段ボールの目の向き。
これは、段ボールの中芯の方向で、中芯の向きに垂直な方向をドームの上下方向に持ってこられるような大きさの物を選びます。

切り出し … 完成度を左右する工程
集めた段ボールを、パーツ毎の形に切り抜きます。

 とはいえ、一つ一つ寸法を下書きするのは大変なので、アクリルの板などで型を作っておくと良いでしょう。それを使って型を取り、段ボールを切り抜きます。

 簡単なように見える工程ですが、ここで細かい部分まで綺麗に切り抜くことが出来ると完成度が格段に上がります。出来るだけ丁寧に作業を進めましょう。

 また、段ボールを切っていると、カッターの刃は傷みやすいので、切れ味が落ちたらこまめに刃を折り、いつも綺麗な切り口が維持できるようにすることも大事です。
組み立て(その1) … パーツ同士を組み立てる

 パーツの切り出しが終わったら、下3つ・中3つ・上3つ…と言った具合にパーツをまとめます。

 一列分のパーツを一度に繋げないのは単純に、全部一度に繋げたら運びづらいからこの時点では分割しておこう…と言う理由です。

 この時、ドームの内側になる方は白いガムテープで、外側になる方は黒(または茶色)のガムテープで貼り付けます。

 貼り付けるときも、パーツ同士にズレが生じないように、丁寧に作業しましょう。
塗装 … ムラ無く綺麗に
ここまで出来たら次は塗装です。

 ドームの内側になる方を白く、外側になる方は黒く塗装します。

 使うのは水性のペンキと、広い面積をムラ無く塗るための大きめのローラー、細かい部分の塗り残しを潰すためのハケ。

 ローラーとハケは当然、白用・黒用の2組用意します。


 別に外側を塗装する必然性は無いのですが、できあがりの見た目を良くするためには塗装をすることをオススメします。

 ちなみに、実際にはペンキの節約のためにお客さんの目に触れる、ドームの半分だけを塗装しています。

 また、これも当たり前のことですが、塗装をする際はペンキの乾きの良い、晴れた日の昼間を狙いましょう。

組み立て(その2) … 完成へ
さあ、いよいよ本組みです。

 仮組みしてある各パーツをドームを立てる場所に持って行ったら、1葉+1葉で2葉に…それをまた2つ組み合わせて4葉に…と言う風に組んでいきます。
すると…
 上部パーツで出来た部分(図中C)、

 中部パーツで出来た部分(図中B)、

 下部パーツで出来た部分(図中A) 

 が出来ます。
これらを繋ぎ合わせると、見事段ボールドームの完成になります。

おわりに
 私が所属していたサークルでは、文化祭前にサークル総出でドーム作りに励んでいました。当時の仲間たちにはこの場を借りてお礼を言いたいです。

 ちなみにこのドームは、文化祭終了と同時にその場で解体されていました。
最大の理由は保管場所が無いということでしたが、仮に場所があったとしても、段ボールを湿気らせずに保管するのはなかなか大変だと思います。

 そうそう、この段ボールドームですが、なんとJAXAの方が参考にしてくださいました
コレにはビックリすると共に、天文の普及のために些細ながらもお役に立てた気がして嬉しいです(^^
 

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